9月14日 東京にて

空の雲も高くなり、大分秋らしい気候になってきました。季節の変わり目で体調を保つのにも努力が必要ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
昨日は静岡のAOI館でオール・メンデルスゾーン・プログラムのコンサートがあり、都響・沼尻氏の指揮で有名な方の「メンコン」を演奏しました。「有名な方」と書いたのは、ちょうど2週間前の日曜日にも秋田の「アトリオン室内オーケストラ」とメンデルスゾーンのもう一つのヴァイオリン協奏曲、13歳の頃の作品であるニ短調協奏曲を演奏したためです。
この初期の協奏曲は小ぶりの弦楽オーケストラで充分演奏でき、古典的な協奏曲の構造を踏襲した如何にも習作らしい作品ですが、それでもメンデルスゾーンの才気活発さはそこここで見ることが出来ます。例えば第3楽章の切れ味の良さなどは、ホ短調の第3楽章を彷彿とさせますし、同じ楽章の途中に出てくるカデンツァに至っては、正にアイディアとしてホ短調の有名なカデンツァの原型であることは間違いないと思います。(実際にコンサートで演奏をされる機会は少ない作品ですが、CDは何種類か出ていますので、興味を持った方は聴いてみてください。)
メンデルスゾーンはモーツァルトにも匹敵する早熟な「神童」だった訳で、有名な弦楽八重奏曲なども16歳の頃の作品です。そうやって見ていくと、有名なホ短調のヴァイオリン協奏曲は1847年に亡くなる3年前の1844年に書かれていて、いわゆる晩年の作品ということになります。「繊細で美しく、有機的な柔らかさに富み、まさに美しい宝石のような協奏曲」と私自身プログラムノートに書いたことがありますが、最近はそこに「精神の成熟した深さ、そしてドラマティックな構造から来る強さ」のような印象も強く持つようになりました。今回はそんな私の感じ方が強く出た解釈になっていたと思います。
いずれにせよ、どんな解釈であれ、自己満足で終わらせないようにすることはいつでも肝に銘じていければいけません・・。

帰りの新幹線で雑誌のAERAを買って読みました。偶然にも、私の教えている秋田の国際教養大学(AIU)が大きく取り上げられていました。「不況にも強い大学」で全国第2位。特集の2ページ目に出ている小川君は今年の春、私の授業にも出てくれていました。なかなかキリっと写っていて、これからもその調子で頑張ってもらいたいと思います。他にも私の授業を取っていた学生で、私達教員グループの畑の隣で学生のグループで畑を作っている子もいましたし、AIUはユニークでしっかりした学生を多く見かけます。
アメリカなどでは、地方の小さな都市や町に大学があり、自然に囲まれた環境で勉強に励んだり友人達やその地域のコミュニティーと深く関わったりしますが、日本でもそのような傾向がこれから強くなっていくのではないかと思います。やはり、独創的な人間が必要な時代になってきて、周りに囚われないで、もっと自分で考えて行動する思考をもった人間が増えれば、また新しい世界が開けるのではないでしょうか?
AIUの卒業生にも期待したいと思います。

9月14日 東京にて

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このページは、Reiko Watanabeが2010年2月10日 22:29に書いたブログ記事です。

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