2011年2月アーカイブ

2月27日  室内楽

 再び、ながらくご無沙汰してしまいました。今年は例年より長く寒さが続いています。1月から2月にかけての活動は、運良く大雪の合間を縫った形で行なうことができましたから、本当に助かりました。
 今週末は久しぶりに秋田へ行き、6日(日)にはトリオを中心としたプログラムのコンサートが予定されています。最近室内楽のコンサートはあまりないのが残念ですが、これは私だけに限った現象ではないのではと思います。景気の良かった頃は日本各地で室内楽フェスティヴァルがあり、1週間くらいの期間を色々な組み合わせのメンバーで、室内楽の楽しみを分かち合えたものでしたが、そのような機会もこのところ減ってしまっているようです。
 最近の日経新聞にサントリーホールの館長であり世界的なチェリストである堤剛氏が書かれていましたが、室内楽は「音楽の基本」であり、音楽先進国の欧米では音楽家も聴衆も室内楽をとても大切にしている、日本もそのようになって欲しい、というような内容でした。私自身も最近、同じようなことを思うことが多く、少し前のブログにも自分の経験から「音楽を学ぶ人はソロばかりではなく、室内楽を日常的に勉強してほしい」と書きました。
 今回は秋田出身の優秀な若手で現在ドイツ在住のピアニスト佐藤卓史さん、そして同じく秋田出身で日本各地で活躍されているチェリストの羽川真介さんのお二人との共演。初めての共演になりますが、どのような音楽的対話ができるのかがとても楽しみです。
 先週2月24日に福岡にて「子供の村」のためのチャリティー・コンサートで九州交響楽団とメンデルスゾーンの有名な「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」を弾いてきました。メンデルスゾーンはモーツアルトに匹敵するほどの早熟の神童で、14才で「真夏の夜の夢」序曲、16才では「弦楽八重奏曲」のような傑作を書いています。38才で亡くなっていますから、36才頃に書かれたこのヴァイオリン協奏曲は晩年の作品といえます。今回秋田のプログラムのトリを飾る「ピアノ・トリオ第1番」は30才になった頃の作品で、ヴァイオリン協奏曲の第3楽章と共通するような軽やかさを見せる第3楽章、叙情的で美しい第2楽章、そして哀愁と情熱に満ちた豊かさを感じさせる第1&4楽章からなる名曲。久しぶりに演奏しますが、前に弾いた時よりも、音楽の対話的構造が身近にすっと入ってくるように感じられて、今から楽しみです。
 ところで、アクロス福岡のコンサートホールのシャンデリアが、ニューヨークのメトロポリタン・オペラハウスのものとよく似ているなあ、といつも思っていたのですが、今回九響の団長の今村氏から「アクロスはNYのメトと同じ会社にシャンデリアを頼んだ」との情報を聞き、納得しました(笑)。

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