2012年4月3日 流れの中で

 このOffstageでは随分ご無沙汰してしまいました。3月初頭にNYCから帰り、8日に秋田での震災復興祈念コンサート、16日にオペラシティでシティ・フィルとの定期演奏会、21日には秋田の国際教養大学の2年分の卒業式で演奏(昨年は震災のため延期)、22日新潟でNoismとの初顔合わせ、28&29日「バレエの饗宴」のリハーサルと仮収録、30日「バレエの饗宴」本番、その間に「東京・春・音楽祭」のドビュッシーのカルテットのリハーサル(4月1日本番)と、随分内容の異なるものを一度に経験した一か月でした。

 何と言ってもダンスとの共演は今回が初めて、ダンスの基本用語もわからずに緊張感を持って22日の初顔合わせには臨んだものの、ディレクターの金森さんやダンサーの皆さんが非常に気持ち良くフレンドリーで、私も本番に向けて積極的に参加することができました。

 それにしても「テンポ」というのは主観的なものです。「速い」とか「遅い」というのは、絶対的なスピード以外に、表現の中に盛り込む気持ちや解釈の内容によって、かなり印象が変わってくる。ダンサーの皆さんが、その肉体的な動きのなかで「やりやすい」と感じる速さと、私がその時その瞬間に演奏に込める気持ちのあり方を一致させるのが今回最も難しい挑戦でした。
 
 本番終了後、私が「テンポは大丈夫でしたか?」と訊くと、一人のダンサーは「本番が始まるとき本当に緊張したけれど、渡辺さんが一番プレッシャーを背負ってくれているのだから、とにかく音楽に乗っかろうと思いました。」とコメントしてくださって、とても嬉しい気持ちになりました。
 
 今月末にはアメリカのワシントンDCのケネディ・センターで"Noism"の公演があり、私も同じバッハの"Solo for 2"で2回の共演をします。楽しみです。NoismのHPにも公演の模様がリポートされています。http://www.noism.jp/news/ また「バレエの饗宴」の模様は6月17日午後3時から2時間に渡り、Eテレで放映される予定です。

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終演後のレセプションで、Noismのダンサーの皆さんと

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Noism芸術監督の金森穣さんと副芸術監督の井関佐和子さん

 一昨日は、「東京・春・音楽祭」で久しぶりにカルテットを演奏しました。小林美恵さん、川本嘉子さんは同級生、向山佳絵子さんともかつて随分室内楽をご一緒しました。私にとって室内楽は本当に久しぶりでしたから、結構神経を使ったつもりですが、至らなかったところも多かったと思います。でもとても楽しい演奏会になりました。
 
 新しいCD"Solo"もパッケージの完成まで、もう最終段階に入っています。演奏内容も私らしいカラーが出たものになっていると思います。 

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このページは、Reiko Watanabeが2012年4月 3日 15:16に書いたブログ記事です。

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